今は忙しいので読む暇はありませんが,誤訳御免!で紹介されている「「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート(コリン・ジョイス著,谷岡健彦訳)」が気になります.一段落付いた後に読むためのメモとしてブログに書いておきます.
目次の中で目を引くのが,
参:面白い日本語以前からイギリス人が外交で見せる徹底的な現実主義と伝統を墨守する精神の両面性に興味があったので,こういう本でそのあたりが確認できたらいいなと思っています.
イライラ、しくしく、ずんぐりむっくり
六:行儀作法
英国紳士とジャパニーズ・ジェントルマン
まず「参:面白い日本語」については,以前にもブログで書いたことですが日本語のオノマトペの多さを海外の人はどう感じるのかという話に興味があります.1861年にロシア軍が対馬を占領しようとしたときの様子を勝海舟が表した文章の中に次のような一節があり,日本人の日常的にオノマトペを用いる特徴が現れています:
次にまた軍艦が来て気を勝手に伐採するので番船が掛け合いに行くと、ポンプで海水をビュウビュウと雨のように注ぎかける。
次に「六:行儀作法」について,僕の出身校のスローガンに「明星紳士たれ」というものがあったためか紳士という単語は割と素直に受け入れられるのですが,目次のこの箇所に特に目が行ったのは「吉田茂とその時代(岡崎久彦)」にこんな一節があったのをふと思い出し,現在の「日本紳士」のイメージはどうなっているのか気になったからです:
戦前の日本人については、尊敬すべき国民としての一つの確固たるイメージがあった。
私事にわたって恐縮であるが、私は日本人として戦後最初の英国ケンブリッジ大学の留学生であり、英国人はまだ戦前の日本人のイメージを持っていた。
ある日の午後、パーティーで初めて知り合った英国人の学生と「ケム川のほとりを散歩しながら話をしよう」と約束したところ、その日はめずらしく土砂降りの雨となった。まさか来るとは思わなかったが約束の時間に行ってみると、すでに友人が傘を差して川のほとりで待っていた。最初の言葉は「ビューティフル・ウェザー(悪天候の反語ジョーク)」だった。訊いてみると「普通なら来ないのだが、日本人は約束を守る人たちだと聞いているので来たのだ」という。英国紳士と日本紳士の意地の張り合いだったわけである。
あと,同じアングロサクソンのアメリカ人にも言えることですが,イギリス人には物事を忌憚なくハッキリ述べるというイメージがありますから,この本にもイギリス人らしい直言にも期待しています.ロシアのピョートル大帝がイギリスにお忍び留学したときに
「臣下がその君主に正しいことを直言するのは、聞いていて気持ちがよい。イギリス人に見習わなければならないのはこの点だ」と述懐した,という話を「坂の上の雲(司馬遼太郎)」で読んだ覚えがあります.意見を出し合って議論を尽くすアングロサクソンの伝統が17世紀末から存在することを示す,面白いエピソードだと思います.
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